ヒトメタニューモウイルス感染症?症状は風邪に似ています
ヒトメタニューモウイルス感染症をご存知でしょうか?
3月~6月頃に症状が重い風邪になったらこの感染症を疑ってみましょう。
ヒトメタニューモウイルスとは
ヒトメタニューモウイルスは,気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症を引き起こすウイルスの一種です。
小児の呼吸器感染症の5~10%、成人の呼吸器感染症の2~4%は、
ヒトメタニューモウイルスが原因と考えられています。
かかりやすい年齢は1~4歳で、生後6ヶ月ころから感染し、2歳までに約半数、10歳までにほぼ全ての小児が初感染します。
1~2歳が発症のピークで、3歳以下が総患者数の約70%を占めます。
1回の感染では免疫を獲得できませんので何度も感染します。
年齢が上がるにつれて徐々に免疫がつき、症状が軽くなる傾向があります。
つまり、大人でも感染します。
乳幼児や高齢者では重症化することもあり、注意が必要です。
ヒトメタニューモウイルス感染症は年間を通して発症が確認されていますが、
3~6月にはとくに感染者が増加します。
春先から梅雨の時期までは、保育園・幼稚園・小学校で流行することがあります。
なお、インフルエンザのような出席停止は法的に定められていません。
ヒトメタニューモウイルス感染症の症状
ヒトメタニューモウイルス感染症の症状は風邪とよく似ていています。
1~3歳の小児では咳がでると同日か翌日に発熱・鼻汁が出現します。
1~3歳の小児では38~39℃の発熱が4~5日続きます。
咳は1週間以上続きます。
悪化すると気管支炎か下気道炎を起こす例もあります。
その場合、ゼイゼイ・ヒューヒューという呼吸音になります。
ヒトメタニューモウイルス感染症の診断
ヒトメタニューモウイルスはRSウイルスに遺伝情報が似ており、
感染したときの症状もほぼ同じなので疫学的に特定するしかありません。
ヒトメタニューモウイルスには迅速診断キットがあります。
迅速診断キットとRT-PCR法やウイルス分離培養法との一致率は約90%です。
迅速診断キットが陰性でも、感染を100%は否定できません。
ヒトメタニューモウイルス感染症の治療
他のウイルスと同様にヒトメタニューモウイルスに対する特効薬はありません。
水分をしっかり取り、ゆっくり休むことが大切です。
対処療法しかありませんので、咳や鼻水を抑え、熱を下げるための薬を処方します。
また、痰の排泄促進を行います。
ヒトメタニューモウイルス感染症の予防
インフルエンザと同じです。
咳やくしゃみでウイルスが付着する(飛沫感染)、
手指がウイルスに触れてしまう(接触感染)ことで感染が拡がりますので、
手洗いやうがいの励行しましょう。
感染した場合は広げないようにマスクの着用を行いましょう。